抗酸化作用と抗酸化成分について

近年、健康志向や美意識の高まりからヒトの老化や様々な病気の原因として活性酸素はが注目されていますが、これの対処方法の一つとして、抗酸化成分についても同時に注目されるようになりました。

ここでは抗酸化作用と抗酸化成分について、より深く知って頂けるようにまとめています。

抗酸化作用を簡単に言えば、酸素が関係する反応で、動物の体内や食品の加工段階及び製品状態など工業原料において有害な反応を減弱させたり除去する作用の総称です。

例えばヒトの体内に於いても、血流内のブドウ糖と呼吸から取り込んだ酸素による反応として活動エネルギーを得ていますが、この過程で有害な4種類の活性酸素が生まれます。この有害な活性酸素を無害化したり消去したりする作用を抗酸化作用と呼びます。

■ 酸化防御機能による抗酸化処理と機能低下!

ヒトの体には多くの生体防御機能が備わっていますが、大きく分類すると以下のようになります。

【 生体防御機能 】

  • 抗酸化機能
  • DNA損傷修復機能
  • 細胞自爆(アポトーシス)
  • 免疫細胞による処理

抗酸化機能につて

そもそもヒトが生命活動をしているだけで体内では活性酸素が発生して多くの細胞損傷を行っているのですから、生命維持の為に活性酸素処理する機能が備わるのも当然のことでしょう。

何故なら、究極的にこの機能がなければ子孫を残すことができないからです。

生体内にはいくつか抗酸化酵素が存在し、例えばセレンや亜鉛などのミネラル成分(抗酸化栄養素)と結合することで抗酸化機能を果たしている。例えば抗酸化酵素の一つとしてカタラーゼの場合は、活性酸素である過酸化水素を鉄とマンガンを補因子として用いて、過酸化水素を水と酸素に変換して無害化する酵素ですし、更にグルタチオンペルオキシダーゼ1は、最も効率的に過酸化水素を除去する抗酸化酵素です。

抗酸化栄養素としては、ビタミンCやEのように活性酸素が生まれる有害な反応を単独で抑制してくれ、抗酸化成分として一般的知られています。

生体防御機能の抗酸化機能は他にも多くの生体防御反応がありますが、この機能は20代前半をピークとして加齢に合わせて低下します(この機能低下は、全ての生体防御機能の低下でもある)。そしてその低下度合いは、遺伝的な要素に加えて個別の生活環境や食生活の内容により相乗的に変化します。

つまり生活環境の改善や食生活の改善により抗酸化機能の低下を抑制し、結果として病気へのリスクや老化の進行度合いの軽減につながることとなります。

■ 体内に存在する他の抗酸化物質

抗酸化作用を行うのは抗酸化酵素の他に幾つかの物質が確認されています。

○ 尿酸

ヒトの血中に最も高濃度で存在する抗酸化物質で、運動ストレス時の抗酸化物質として作用する報告があるがありますが、信頼性は低いようです。逆に尿酸濃度の上昇は痛風のリスクが高まる旨の報告もあり、継続的な濃度上昇は注意が必要です。

○ アスコルビン酸(ビタミンC)

ビタミンC の合成能を失った状態ですが、還元能を有する酸化還元触媒で過酸化水素のような活性酸素種を還元することにより解毒する作用を有します。

○ グルタチオン

細胞内でグルタミン酸、システイン、グリシンとの3種のアミノ酸が短い鎖状に結合した分子(ペプチド)で、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタレドキシンなどの酵素系によって他の有機物の還元を行っている[117]。グルタチオンはその濃度の高さと細胞での酸化還元状態の維持に重要な役割を果たしていることから、最も重要な細胞性抗酸化物質です。

○ メラトニン

メラトニンは容易に細胞膜と血液脳関門を通過できる強力な抗酸化物質です。酸化還元サイクルを形成する他の抗酸化物質(ビタミンCなど)は酸化促進剤としてフリーラジカルを形成する可能性がある。しかし、メラトニンはフリーラジカルと反応すると安定な状態になるため1回酸化されるのみで、還元はされない。したがって、メラトニンは「末端抗酸化物質 (terminal antioxidant) 」とも呼ばれている。

○ ウロビリノーゲン

赤血球中のヘモグロビンの構成要素であるヘムの代謝物で、ウロビリノーゲンは抗酸化作用を有し、DPPHラジカル除去作用は他の抗酸化物質(ビタミンE、ビリルビンおよびβ-カロチン)よりも高い値を示すことが確認されています。

■ 食物からの抗酸化成分

果物や野菜からの抗酸化成分は単に栄養素の補給ばかりではなく、抗酸化作用につながる酵素補給でもあります。

○トコフェロール類、トコトリエノール類(ビタミンE)

ビタミンEはトコフェロール類とトコトリエノール類の共同名で、抗酸化機能を持つ脂溶性ビタミンで、α-トコフェロールは、脂質過酸化連鎖反応で生成する脂質ラジカルによる酸化から細胞膜を保護するため、最も重要な脂溶性抗酸化物質で、生体膜の内側で脂質-ヒドロペルオキシドを効率的に還元する唯一知られている酵素です。

○カロテノイド

カロテノイドは、天然に存在する色素で二重結合を多く含むので抗酸化作用が大きい。

カロテン類 βカロテン、ビタミンA、リコペン
キサントフィル類 ルテイン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン、フコキサンチン、アスタキサンチン、β-クリプトキサンチン、ルビキサンチン

○ポリフェノール

ポリフェノールとは、ポリ(たくさんの)フェノールという意味で、分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基(水素原子1個と酸素原子1個からなる化合物)を持つ植物成分の総称で、抗酸化作用を持つ物質のことです。

フラボノイド類
カテキン
アントシアニン
タンニン = 茶カテキン
ルチン
イソフラボン
ノビレチン

○その他のポリフェノール

クロロゲン酸
エラグ酸
リグナン
セサミン
クルクミン
クマリン
オレオカンタール
オレウロペイン
レスベラトロール

■ 抗酸化物質の関連情報

抗酸化物質に関する様々な研究報告がありますが、以下にその一部を掲載します。

○哺乳動物の寿命と抗酸化物質について

尿酸、ビタミンE、天然色素などの抗酸化成分の血中濃度とヒトを含めた哺乳動物の最長寿命を比較すると、血中濃度が高いほど最長寿命が長い傾向にあったとの研究データが報告されています。またビタミンC、グルタチオン、ビタミンAの抗酸化成分の血中濃度と最長寿命との場合は相関は認められないとされています。

○アンチエイジングと抗酸化物質について

果物と野菜の多い食事では抗酸化物質が多く摂取されることにより健康を増進させ老化の影響を減らすとされていますが、抗酸化ビタミンの補給は老化作用に対して反応するようなことは無いため、果物と野菜の抗酸化物質の含有量とアンチエイジング効果とは関係がないかもしれないとする論文もあり、その理由として、ポリフェノールやビタミンE のような抗酸化分子は、栄養素としての重要性が高い可能性があるとしている。

線虫での研究では、適度なストレスよる活性酸素種の発生は、防御反応を誘導するので結果として寿命を延ばす可能性が考えられるとしていますが、哺乳類では抗酸化物質の栄養補助食品がヒトの寿命を延ばしているようには見えないという研究報告もあります。

ビタミンは炭水化物やタンパク質、脂質、ミネラル以外の栄養素で、ヒトでも生命維持を円滑に行うために必須な有機化合物です。
各種ビタミンの不足は様々な病気の原因となりますが、過剰なビタミン摂取が寿命に影響を及ぼしたとの報告はほとんどありません。

【 引用関連資料 】

グルコース制限は、ミトコンドリア呼吸を誘発し、酸化ストレスを増加させることにより、Caenorhabditiselegansの寿命を延ばします
https://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131

抗酸化サプリメントは一次または二次予防のすべての原因による死亡率を低下させません
https://ebm.bmj.com/content/13/6/177

アンチ エイジング医学
https://www.worldcat.org/title/anchi-eijingu-igaku/oclc/369164502&referer=brief_results

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